都中建は、10月15日、16日の両日、「平成15年度東京都予算等に対する要望」を都議会各派に対し提出し、陳情した。要望項目は次のとおり。

平成15年度東京都予算等に対する要望事項

一 公共事業費の確保について
東京都財政が依然厳しい状況にあることは十分認識いたしております。しかし東京都にとって都市再生は急務であります。また、都民生活にも直結する介護、 保育、学校、上下水道、道路、河川、鉄道立体交差、防災等は緊急に整備すべき事業であります。これらの事業につきましては優先的に事業費を確保されますよ う要望いたします。
ゼロ都債を増額し、来年度予算の早期発注をお願いたします。

二 中小建設業者の受注機会の確保等について
(1)東京都は事務事業の効率化の観点から聖域なき見直しを行っていると聞き及んでおります。民間での対応がより効率的と考えられる事業、例えば都道維持 補修事業のうち、休日、夜間を含む巡回点検等につきまして、積極的に民間委託方式を採用されますよう要望いたします。
(2)東京都は12年度から「公共工事のコスト縮減のため、適切な発注ロットを設定する」と従来の「可能な限り分離分割」の方針を変更されました。このこ とは、運用次第では中小建設業の受注機会に大きな影響を及ぼすものであります発注ロットの拡大と中小の受注が両立できますよう特段のご配慮をお願いたしま す。l
(3)東京都の運用する共同企業体は大手企業を中心として、中堅、中小を配するものでありますが、工事の難易度の高くない工事案件につきましては中小同士のJV(建築)や異業種JV(建築・土木)もお認め下さいますよう要望いたします。

三 都市再生事業に中小建設業の参加を
都市再生特別措置法が施行され、東京都においても7地区が指定されました。これから官民力を合わせた都市整備が促進されることになりますが、大型プロ ジェクトのみでなく地域として指定されたことは歓迎いたします。再開発関連事業として既存建物のリニューアルや街区の整備、電柱地中化、道路の透水舗装、 屋上緑化など中小建設業の施行可能な事業については中小建設業の力を最大限に活用されますよう要望いたします。

四 入札制度の更なる改善について
東京都は本年4月から公共工事の予定価格を全面的に事前公表しました。予想されていたことですが、受注を目指す建設業者は最低制限価格と考えられるライ ンに入札価格を集中させております。その結果、同札、クジ引きという案件が多く見られ、真面目に積算をし、入札会場に足を運ぶのが虚しくなるとの声が聞こ えてきます。これが真の競争入札と言えましょうか。形式論としては、発注者に責任はなく、業者の自己責任に帰すべき事例と言えるかも知れません。しかし、 発注者にも品質確保の責務はあると思います。近年のように発注件数が少なくなると受注したいとの一心で積算を度外視しても応札します。それが業者心理で す。そうなりますと、品質の確保は保証されません。このことは長い将来にわたって禍根を残すことになります。受発注者の知恵の出しどころと考えます。
新しい入札制度について、更に一段の検討を要望いたします。

五 工事代金の債権譲渡について
政府は、中小建設業を金融面から支援する方途として、また、下請負人保護のため平成10年12月下請セーフティネット事業を発足させました。
この制度を利用するには、発注者に工事代金の「債権譲渡」をお認め願う必要があります。受け皿としては都中建協同組合が、平成13年12月26日建設業 振興基金から債務保証団体としての承認を受け、14年2月8日商工中金との間で一定枠の融資契約を締結し、いつでも実施できる状態にあります。
また、新たに全業種を対象とする「売掛代金担保融資制度」も開始され、東京都は本制度を制度融資として取扱っておりますが、公共工事代金については債権譲渡がなければ、本制度も生きてまいりません。
東京都の決断を期待しております。よろしくお願いいたします。