都中建は毎年、翌年度の東京都予算に向けて都議会要望を行っており、15年10月に各党に要望したことは前号でお知らせしたとおりです。

1. 入札制度の再検討について

東京都は入札制度の透明性を確保するため、予定価格の事前公表に踏み切りました。その結果、全てとは申しませんが、中小建設業者の参加する案件では、競争 が激化し、最低制限価格ぎりぎりに入札価格が集中し、くじ引き落札が増えております。積算も企業努力もありません。これでは真の入札とは云えないと思いま す。

品質確保の視点を加味した制度への移行が必要と考えます。そのためには総合評価による入札制度、最低制限価格の引上げ、他県業者の参加抑制、指名の地域性の確保等、中小建設業の要望を改めてご検討下さいますよう要望いたします。

2. 中小建設業者の受注機会の確保等について

東京都の財政が厳しく、このため16年度予算においても投資的経費は10%の削減方針が出されていると聞き及んでおります。建設業者としては大変残念に思 います。投資的経費の減少が妨げないとすれば、先ず、都民生活に直結する事業で、中小建設業者の施工可能な事業を優先して予算化して頂きたく要望いたしま す。

また、都事業の業務委託の促進、中小同士のJV、PFIの中小建設業の導入の可能性等をご検討下さいまして、中小建設業の受注が確保されますようお願いいたします

3. 中小建設業の再生・再編について

建設投資額は年々減少し、将来とも回復の見込みがないとすれば、建設業が変わらなければならないことは十分に認識をしております。
しかし、建設業を止めるに止められないのが現実であります。それは金融上の問題であります。中小建設業の経営者の多くは個人保証をしております。企業の整 理のためには個人資産の提供を求められます。この点が最大の問題点であります。

新分野進出ということが言われます。これも現実には厳しいことです。長年この業界に生きてきた者にとって新分野と言われても見当もつきません。建設業のための相談窓口の開設や融資等で是非とも中小建設業の再生・再編にお力添え下さいますよう要望いたします。

4. 工事代金の債権譲渡について

国土交通省は、中小建設業を金融面から支援する方途として、また、下請負人の保護のため平成10年12月「下請セーフティネット事業」を発足させました(実施団体は財団法人建設業振興基金)。

この制度を利用するには、発注者に工事代金の「債権譲渡」を認めて頂かなくてはなりません。受け皿として都中建協同組合は、平成13年12月26日建設業振興基金から債務保証団体として承認を受け、14年2月8日商 工中金との間に一定枠の融資契約を締結し、いつでも実施できる状態にあります。お蔭様で、東京都も前向きに検討を頂いております。いよいよ最終の決断の時 と思われます。よろしくお願いいたします。