社団法人東京都中小建設業協会

会 長 吉 田 建 三

新年明けましておめでとうございます。今年こそ皆様の前途に希望の見出せる年でありますよう、心からお祈りいたします。

 

建設業の危機

年初からこのような刺激的表現で恐縮ですが、現実から逃避するわけにはまいりません。減り続ける公共事業、デフ レ下で投資を見送る民間需要、受注のできない中小建設業者はいよいよ追いつめられ、倒産、廃業が続出しております。まさに建設業の危機であります。過去の 積立金でかろうじて持ちこたえてきた各社も、今や崖っぷちに立たされております。都中建は、昨年九月、中小建設業の危機を宣言し、アピールを発表しまし た。そして、中小の皆さんに声を出して下さいと要請しました。都中建の会員からは今続々とアンケートの回答が寄せられております。都内中小建設業の仲間の 皆さんも、「都中建しっかれやれ」ではなく、自分自身の問題として捉え、声を出して下さい。具体的提案をお寄せ下さい。「苦しい」、「困った」と百万遍繰 り返しても、事態は解決しないのです。
皆で道を探しましよう。皆で行動を起こしましよう。

公共工事のダンピング

最近業界の緊急課題となっておりますのが、ダンピング問題です。
中小建設業者の参加する競争入札の場合、東京都を始め、区市町村の多くは、最低制限価格制度が設けられていますので、厳密な意味でのダンピングと云えるか どうか分かりませんが、都中建としては、昨年9月、同札くじ引きの多発を問題にいたしました.。近年は公共工事のコスト縮減があり、その上、80パーセン ト程度の最低制限がかけられては、通常の場合、採算に乗りません。しかも、同札、くじ引きで落札者が決まるというのでは、企業努力の結果はどこに反映され るのでしようか.。入札制度の再検討をお願いしたいと問題提起をいたしました。
その後、全建をはじめ、他の団体等から最低制限のない発注機関における入札でダンピングが横行し、「業者の死活問題である」、「何らかの対策を求める」という声が高まっております。
建設業者としては、自らの入札価格に割り切れないものを感じながらも、競争に参加しなければ、座して死を待つに等しいことですから、相手に勝つため、た とえ不採算の価格であっても、入札することになります。予定価格の50パーセントということも時にあるようで、こんな競争が許されるのかと心ある業者の悲 鳴が聞こえてきます。
このような価格競争が続いては、商売になりません。商売とは原価プラス適正利潤がなくては成立しないはずです。
ダンピング価格とは何かということは難しいことです。しかし、最近の傾向は、明らかに異常です。ダンピング防止のため、法律制定すら検討されていると聞いております。
ダンピング問題は、業者間の問題であると決め付けることはできません。公共工事の品質確保にかかることであり、下請へのしわ寄せ、労働条件の悪化、安全対策上の問題でもあります。
発注当局にも問題解決のために、積極的な対応をされるよう期待いたします。

中小建設の再生と再編

国、地方自治体等の財政難から公共事業費が大きく減額となっております。その上、デフレの影響で、土地、建物、株式等の資産価値が下落しております。これでは全体に投資意欲が起きてくるわけがありません。一日も早くデフレを止めなくてはなりません。
政府は、構造改革なしに経済の再建はないと厳しい路線を進めておりますが、改革の道は遠く、その間にもデフレは進行しております。やはりここは需要をつ けて、先ず、デフレ克服が先ではないかという声も日増しに高まっております。中小建設業者としても、先ずは補正予算で需要を喚起する政策を心より希望いた します。
時代が変わり、建設業界も将来的需要に合わせた再編が求められていることは十分理解しております。しかし、このことは大変難しい問題であり、特に建設業 者は新しい仕事になかなか馴染めない体質を持っております。しかし、そうこう云っている間にも倒産や廃業は続いております。幸運にも建設業界に残れた人は 環境の変化を感じなくて済みますが、異業種に職を求めた人は、仕事や賃金の面で大きな苦労が待っています。労働のセーフティネットや業界内部の相談窓口の 充実は緊急な課題です。又、昨年暮に新聞で報道された労働者派遣法改正の動きも重要な施策と期待を持って賛意を表します。大変難しいことですが、業界の再 生、再編のためには労働移動の弾力化とミスマッチの解消が絶対条件です。

日本経済を支える中小企業

グローバルスタンダードを日本の中小企業の世界に持ち込むのは間違いだと思います。
グローバリズムは一握りの成功者と多数の敗者を生みます。日本の中小企業を全て敗者にしてはなりません。
これまでの日本経済を支えてきたのは、中小企業です。これからも中小企業の繁栄がなければ、日本経済の発展はないのです。特に中小建設業者は、地域にお ける災害対策の担い手でもあるわけです。除雪、水防、震災出動とこれまでも行政に協力して、地域住民のために活動してきました。これからもその役割は変わ らないでしよう。
地域に根ざした活動を続けながら、地域とともに発展をする、それが21世紀における中小建設業者の理想の姿だと思います。
この責務を果たすため、今年も頑張ります。

平成15年 元旦