東京都は財務局、交通局、水道局、下水道局連名で、平成15年3月26日、「15年4月以降の入札・契約制度の改善について」、下記のとおり発表した。

この制度改正については、下記のとおり、東京都財務局の前契約調整担当部長で現財務局建築保全部コスト調整担当部長の 松村光庸氏 から都中建あてのメッ セージを頂いている。この原稿は「中小建設業の再生に当っての処方箋」の中に掲載するため執筆されたものであるが、ここでも利用させて頂くことにする。

  1. はじめに
    社団法人東京都中小建設業協会の皆様には、日頃から都の公共事業について特別のご理解とご協力を賜り、厚くお礼申し上げます。
    さて、東京都の入札制度については、20年以上前から工事希望申込者を優先指名する希望制指名競争入札を導入し 、入札経過などの入札情報についてもその公開に努めるなど、従前から公正性、透明性の確保に努めてきました。また、中小企業対策を大きな柱とし、共同企業体方式の活用など様々な施策を進めてまいりました。 

    昨年4月には、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」の趣旨等を踏まえ、公正性、透明性、競争性の向上を図る見地から予定価格事前公表の範囲拡大、入札参加者の入札前公表の廃止等の改正を行いました。また、7月には、民間の優れた技術力の活用を図るため、高度・専門技術を持つ企業が格付けに関係なく入札に参加できる「技術要件発注方式」、「性能要件発注方式」という新たな発注方式を創設いたしました。

    昨年4月には、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」の趣旨等を踏まえ、公正性、透明性、競争性の向上を図る見地から予定価格事前公表の範囲拡大、入札参加者の入札前公表の廃止等の改正を行いました。また、7月には、民間の優れた技術力の活用を図るため、高度・専門技術を持つ企業が格付けに関係なく入札に参加できる「技術要件発注方式」、「性能要件発注方式」という新たな発注方式を創設いたしました。

    日本の経済は長期にわたる低迷から脱却できず、デフレ傾向を強める中で、建設投資の額もピーク時の平成8年と14年を比較すると30%以上も低下するなど,建設業界を取り巻く環境は厳しいものがあります。東京都においても、都税収入の大幅な減少に伴い、公共投資も縮減しなければならない状況にありますが、都市再生事業など必要な事業については、重点的に予算を配分しております。

    道路、橋梁、公共施設等の都市施設は、都民生活の基礎となるものであり、良質でしかも耐用性に富み、ライフサイクルコストも最小であることが望まれます。

    平成15年度の契約制度改正においては、工事の履行結果を評定する「工事成績評定」に着目し、履行成績の優良な企業にはインセンティブを、また、不良な企業にはペナルティを強化するなど、メリハリのある対応を行い、工事の品質の向上につなげていきます。そのため、工事成績評定を出来るだけ客観的なものとするよう都としても努めてまいります。

    また、一昨年から開発を進めてきました、都の電子調達システムについても、インターネットによる入札情報の提供や資格申請のシステムは稼動しており、新年度から電子入札を実施してまいります。

    以下、新年度の制度改正の概要を紹介します。

  2. 入札・契約制度の改正
    (1) 電子入札の開始
    入札参加希望票の提出から入札・開札までをインターネットで行う電子入札を15年度第1四半期後半より財務局発注の大型工事案件から開始します。16年度には全局にシステムを展開していきます。
    (2) 入札・契約制度の改正
    [1] 工事成績不良企業に対するペナルティの強化
    ア. 指名停止措置の強化
    工事成績不良企業への措置強化ー評定60点未満をとった場合、要綱上の上限を12月まで延長します。
    連続して不良点を取った企業には特に厳正に対応ー3年以内に成績不良を繰りなど悪質なケースは、最大24か月まで措置します。
    「手抜き工事」への措置強化ー粗雑工事についての指名停止措置を新設します(12か月まで)。
    虚偽申請者に対する措置強化ー電子化を踏まえ、資格審査等で虚
    偽申請があった場合の措置を新設します(12か月まで)。
    イ. 資格審査の格付けの引き下げ
    評定点55点未満をとった場合、1年間格付けを引き下げます。
    [2] 工事成績優良企業に対するインセンティブ
    ア. 優先指名の取り扱いの強化
    評定点75点以上をとった場合、これまで以上に優先的に指名していきます。
    イ. 資格審査の格付けの引き上げ
    評定点80点以上を取った場合、相手の意向を確認した上、格付け上1年間の優遇を行います。
    [3] 指名停止情報、工事成績評定結果の公表
    ア. 全ての指名停止情報の公表指名停止を行った場合、東京都ホームページで、「指名停止を受けた企業名」、「指名停止の理由」、「指名停止の期間」等を公表します。
    イ. 工事成績評定結果の公表(試行)
    一大規模工事は成績評定結果を閲覧に供します。また、優良工事(評定点75点以上)については、「工事件名」、「施工企業名」等をホームページに掲載します。
    [4] 適正な履行を確保するための方策
    ア. 「契約保証金免除」に係る取り扱いの変更(7月以降の発注案件から)
    施工能力の無い企業が受注することを防ぎ、確実な履行を確保するため、「低入札価格調査」を行って落札した相手方については、契約保証金の免除を行いません。
    イ. 入札参加条件の見直し(特定建設業許可の条件下、7月以降の発注案件から)
    大型工事の発注に当たって、施工上、一定金額以上の下請け契約の締結が見込まれる場合には、原則として、「特定建設業の許可を有していること」を入札参加条件とします。
    ウ. 重点的な施工管理
    「低入札価格調査」を行って落札した案件では、監理技術者等の配置状況、安全対策等を重点的に調査するなどして、施工監理に万全を期します。
    エ. 入札参加有資格者に係る実態調査の実施入札参加有資格者の正確な情報を把握するため、経営状況、受注状況等について、必要に応じて実態調査を行い、施工能力の無い企業の排除を進めていきます。
    [5] JV工事にかかる取り扱いの見直し(入札までの間に構成員が欠けた場合の取り扱い)
    総合評価一般競争入札など希望申し出から入札までが標準より長期にわたる案件では、必要に応じて代表構成員以外のものが経営不振、都からの指名停止により欠けた場合、新たな構成員の入れ替えを認めます。
      1. おわりに電子入札については、15年度の財務局での運用状況、また、16年度の各局の状況を踏まえて、全面展開していきます。事業者の皆様にとってい勝手の良い運用が出来るよう努めてまいります。また、都内の各区市町とも連携し、資格申請や電子入札に当たって皆様の負担が少なくなるよう連携を図ってまいります。また、入札・契約制度についても、引き続き、より良い品質が確保できるよう検討を進め、改善につなげてゆきたいと考えております。

        最後になりましたが、貴協会の益々のご発展を祈念いたしまして、ご挨拶とさせていただきます。